作品名: シュモクザメ型肩たたき用ハンマー
Hammer for hammering a hammerhead
製作年度: 2014/12
素材:檜、杉、ラミン木球
◉コレは何か?と問われたら、ハンマーヘッドシャーク型の肩たたき器ですと返答します。見たまんまです。えっ見えない?見えないと困るんだよなぁ。
このハンマーヘッド、実は結構人目に触れた作品なんです。あるテレビドラマに登場したアイテムでして、しかも背景にチョロっと映っていたとかでは無く、今をときめく若手俳優さん達が手に取って、次々に受け渡していくと言う美味しい役どころでの出演です。
そのドラマは、海で出会った8人の男女の青春を細やかに描いた二時間のスペシャルドラマで、僕はその番組の美術の担当をさせてもらっていました。大学生を中心とした男女8人が海で出会い、水族館での共同作業を通して成長していく青春群像劇です。物語の終盤で共同作業も終わりを迎え、皆それぞれの道へと歩き出す事となります。作業場での最後の日に、一人一人が仲間に向かってメッセージを伝えるシーンがありました。
監督はこのシーンをマイクリレーで行う演出プランを持っていました。勿論本物のマイクでは無く、その場にある丁度良い大きさの何かをマイクに見立てて使いたいのですが、できれば水族館っぽい魚に因んだモノが良いと仰っています。この「何か」が作業場のデスク周辺に序盤から転がっていて、終盤の卒業式にも似た仲間への感謝と別れの言葉を告げるシーンで照れ隠し的に何気なく取り上げたい…、と。
その日は装飾担当の方と「うーむ。」と悩んで答えが出ず、宿題となりました。テレビドラマの世界は分業が進んでいて、本来はこうした役者さんが手に持つものは「持ち道具さん」や「装飾さん」が用意するのが普通な様ですが、休日に自宅のアトリエにて、採用されなくても良いから何かひとつ作ってみるかと思い立って制作したのがこのハンマーヘッドなのです。
●目玉にはラミン木球を使ってます。
回転させて視線を変えられます。
●シンプルな切り出し形状です。ステインを水ぼかししてグラデーションをつけています。
●最初はボディに丸みを持たせて、もう少しリアルなフォルムで考えていました。そっちのバージョンも作ってみようかなぁ。